双コンウェイ圏の構造を探る
コンウェイ圏
まずコンウェイ圏の定義:
コンウェイ不動点演算子 FixAX:C(A×X, X)→C(A, X) は、
二番目の条件に「変形」を付けたのは、文字通りの「対角自然性」ではないから。変形対角自然性でもダブルダガー公式でも、対角Δを本質的に使っているので、コンウェイ不動点演算子をデカルト圏以外で定義するのは難しい。強いて言えば、対角Δを余モノイドの余乗法で代替できるかもし知れないが、デカルト的な(デカルト性に依存した)概念と思ったほうがよさそうだ。
標語としては:
トレース付き圏
ブレイドとツイスト(バランシング)を持つ圏をバランス圏と呼ぶ。ブレイドとツイストは相互に関係して、自明なツイストを持つ場合がブレイド付き圏。トレースはバランス圏で定義される。特にヤンキングは、トレースとブレイド/ツイストの関係を記述する。
- トレース付き圏=トレース付きバランス圏=トレース/ブレイド/ツイスト付きモノイド圏
バランス圏に対象の双対と単位/余単位射が付くとリボン圏。リボン圏の特殊例がコンパクト閉圏。リボン圏は自動的に標準トレースを持つ。
トレース付きデカルト圏とKSHH定理
デカルト圏は対称モノイド圏。よって、自明なツイスト(恒等)と退化したブレイド(対称、入れ替え、クロッシング)を持つバランス圏となる。この上にトレースを持つとき、トレース付きデカルト圏と呼ぶ。KSHH定理により:
- トレース付きデカルト圏はコンウェイ圏である。コンウェイ不動点作用素は Fix(f) := Tr(f;Δ) で与えられる。
- コンウェイ圏は、トレース付きデカルト圏である。トレースは、Tr(f) := <id, Fix(f2)>;f1 で与えられる。
コンウェイ代数とBCK行列圏
ISRがコンウェイの積スター公式と和スター公式を満たすときコンウェイ代数と呼ぶ。
コンウェイ代数をスカラーとする行列圏に、行列スター公式でスターを入れた圏をとりあえずBCK行列圏と呼ぶ。BCKは、ベキッチ、コンウェイ、コォゼンから。BCK行列圏はローヴェル理論である。
双コンウェイ圏
双デカルト圏Cにおいて:
双デカルト圏にコンウェイ不動点とコンウェイ余不動点を考えた圏を双コンウェイ圏と呼ぶ。定義より、
Cが双コンウェイ圏のとき
コンウェイ代数とコンウェイ圏
- コンウェイ代数をスカラーとするBCK行列圏は双コンウェイ圏である。
- A∈|C| に対して、Aを含む最小の双コンウェイ圏(部分圏)は、End(A)をスカラーとするBCK行列圏と同型である。
- コンウェイ代数の圏から、“双コンウェイ圏の圏”に行列圏構成関手がある。
- 付点双コンウェイ圏(対象が1個特定された双コンウェイ圏)の圏から、コンウェイ代数の圏への関手がある。
6つの等式的定義
- Fix(f) := Tr(f;Δ)
- Plus(f) := Tr(∇:;f;Δ)
- Tr(f) := <id, Fix(f2)>;f1
- Plus(f) := Fix(∇;f)
- Tr(f) := a + cd*b
- fix([b, a]) := b;a*
半単純双コンウェイ圏
http://d.hatena.ne.jp/m-hiyama-memo/20131001/1380591018 の繰り返し:
An object X in a category C with a zero object 0 is simple if there are precisely two quotient objects of X: 0 and X. If C is abelian, we may use subobjects in place of quotient objects in the definition, and this is more common; the result is the same.
A semisimple category is a category in which each object is a direct sum of finitely many simple objects, and all such direct sums exist.
単一の単純オブジェクトSを持つ半単純双コンウェイ圏は、End(S)上のBCK行列圏と圏同値。「単一単純オブジェクトを持つ半単純双コンウェイ圏の圏」、「コンウェイ代数の圏」、「BCK行列圏の圏」はすべて圏同値。
[追記]
- 不動点性: f† = <f†, A>;f
μx.f(x, a) = f(μx.f(x, a), a) - 自然性: [(g×X);f]† = g;f†
μx.(f(x, g(b)) = (μx.f(x, a))[g(b)/a] - 対角自然性: (f;g)† = [(A×g);f]†
μx.g(f(x, a)) = μt.f(g(t), a) - 対角性(ダブルダガー): (f†)† = [(A×Δ);f]†
μx.(μx'.f(x', x, a)) = μx.f(x, x, a)
Conwayのオリジナル(?)の double iteration identities, composition identitiesは、t = t(x, y, z1, ...), s = s(x, z1, ...), r=r(x, z1, ...) として、
二番目がちょっと今はわからない(かつて一度は理解したようなんだが(苦笑))。
[/追記]