モノイド二重圏をモジュール計算に利用する
http://d.hatena.ne.jp/m-hiyama/20130117/1358383722 にモノイド二重圏の定義だけは書いた。Catyのモジュール計算に使うつもり。
モジュール、正確に言えば境界付きモジュールを水平1セルとみなす。境界データは、i0:A→M、i1:B→M という写像で与えられて、水平1セルとしては、(A→M←B):A→B というプロファイルとなる。
話が前後するが、そもそも(境界なし)モジュールとは何か?というと、ペトリネットである。ペトリネットは若干抽象化されていて、プレースノードとトランジションノードを持つ二部グラフで、ある制約を満たすもの。さらに頂点ラベリングが付く。トランジションノードは辺(の中点)ともみなせるので、トランジションノードの頂点ラベルは辺ラベルのように解釈することも出来る。
二重圏の0セルは離散ペトリネットとなる。境界データは、離散ペトリネットを通常の(制約を満たす)ペトリネットに埋め込む写像。横結合はグラフの貼り合わせで定義する。
縦セルは、離散ペトリネットおよびペトリネットのあいだの写像。結合は写像の合成になる。モノイド積は直和で与える。
水平1セル(なんだったら、境界構造を忘れてもいい)と2セルからなる圏が考えられる。この圏は通常のモノイド圏となるが、モノイド積は直和、空グラフで始対象もある。さらに有限余完備になってくれると、モジュールを素材にして工作が自由にできる圏になる。工作手段は、モジュールを頂点とする図式に対して余極限を取る構成法。
水平1セルの横結合は、2セルを射とする圏の余極限とは別物だが似てる。どちらも、V字形余スパンを繋いだW字形に対してまんなかのスパンの押し出し=融合和を作る。ただし、プログラム意味論的/実務的に言えば、横結合と余極限構成はまったく異なる。
横結合は、オートマトンの連接にあたる。それに対して、余極限構成は設計情報の集約作業となる。水平1セルと2セルの縦結合からなる圏が有限余完備なら、自動的に下部構造の二重圏と協調するような気がするが、ハッキリは分からない。
今はともかく、ペトリ的なオートマトンの連接(連結)、直和(モノイド積)、トレースと、それより上位(高次元)な部分のスパンと余極限構成(融合和、貼り合わせ)の実例を調べる。