アルファベット、文、言語
ラベルの集合がアルファベットなんじゃない。ラベル付きグラフそのものが、圏の生成系としてアルファベットなのだ。と、たったそれだけのことだが、これでモノの見方は変わった。
「アルファベット→圏の生成系→圏→圏多元環」という一本道により、アルファベットと圏多元環が同じものに見えてきた。圏多元環が境界としてのブール半環を持ったり、クリーネスターを持ったりもする(してもいい)。そして分解を通じて余代数にもなっているようだ(非可換性のために、双代数にはなってないかもしれない)。
次のような対応がある。
形式言語理論 | 代数 |
---|---|
アルファベット | 圏多元環の生成系 |
文 | 圏の射 |
文の連接 | 射の結合 |
言語 | 圏多元環の元 |
言語の連接 | 圏多元環の乗法(畳み込み) |
言語の微分(?) | 圏多元環の余乗法(?) |
適当な基礎代数系上の圏多元環の表現は加群と同じだから、加群の圏は表現の圏になる。Setへの表現が決定性全域オートマトン、Partialへの表現が決定性オートマトン、Relへの表現が非決定性オートマトン。係数を通常の体にすれば、通常の線形表現も考えることができる。F2での議論はある程度は意味を持つかも知れない。
両側加群(ニ方加群 bimodule)や三方加群(trimodule)を考えると、メッセージング入出力を持つオートマトンとなる。オートマトンの圏は、多元環の上の加群の圏だったわけだ。加群の生成系を与えるのが状態空間。生成系が標準的に付いている加群には、a |→ a(×)a で標準的な余積(分解ではなくてコピー)が入る。これである程度は代数的な構造に見通しがついてきた(かな?)。