半環の融合和で悪くなる
半環RにNが作用しているとき、融合和(amalgamated sum)が定義できる。半直和という感じの構成だ。
(R, +, ・, z, u)が半環(zは零、uは単位)とする。x∈Rに対して、
- 0△x = x
- n△x = u + .. + u + x(uがn個)
- 0*x = z
- n*x = x + ... + x(xがn個)
として作用△:N×R→R、 *:N×R→R を定義する。要するに、NをRに自然に入れて(埋め込みとは限らないが)、自然に演算を拡張したもの。
直和集合 N + R には、場合分けにより足し算と掛け算が入り再び半環となる。これを融合和と呼ぶことにする。融合和はたいして有用とは言えないが、いくつかの注目すべき点がある。
- Rの零と単位は、零と単位ではなくなる。
- Rが環であっても、融合和は環でない。
気分的な表現をすると、融合和により、性質が悪くなるのだ。融合和により悪くなった半環から、Nを切り落として、もとのRだけを抽出すれば、よい性質の代数系(環とか)を再現することができる。データ構造のバーンサイド分配代数から、有限集合を取り除くのは、この抽出過程にあたる。