抽象スカラーと貼り合わせ自由代数
モノイド積を×、モノイド単位を1として、
- λ:1×A→A
- ρ:A×1→A
を単位律を与える構造射(unitor)だとする。K = End(1)を抽象スカラーとして、抽象スカラーによる乗法は次のように定義される。
- k-*f = λ-1;(k×f);λ
- f*-k = ρ-1;(f×k);ρ
記号-*と*-は苦し紛れ、左乗法と右乗法を区別するため。このとき:
- i;j = i-*j = i*-j
- i;j = j;i (ケリー交換性)
が成立する。スカラーの上では、左乗法も右乗法も結合のことであり、その結合は可換。
独立しているが、関連する話。Xを集合、Rを代数(多元環)として、f:X→R という部分写像があるとする。Xから自由生成された代数をR<X>とする。Xは加群の生成元として、Rは1の倍数としてR<X>に埋め込める。f~:X→R<X>を次のように定義する。
- f(x)が定義されていれば、f~(x) = f(x) ∈R⊆R<X>
- f(x)が定義されていないならば、f~(x) = x ∈X⊆R<X>
xとf(x)を同一視する関係をR<X>に入れたものをR<X>fと書く。Xがモノイドであるときは、fにf(xy) = f(x)f(y) を「片方が定義できるなら、もう一方も定義できて等しい」の意味で要求する。
モノイド圏の抽象スカラーは可換モノイドKとなるので、KからRへの部分写像fにより R<X>fを定義できる。この代数は、圏全体の係数環として使える。