ユニタリ対応の圏
用語法がややこしいからまとめておく。
係数体 | 内積 | ベクトル空間 | 内積保存変換 |
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実数 | ユークリッド内積 | ユークリッド空間 | 直交変換 |
複素数 | エルミート内積 | ヒルベルト空間 | ユニタリ変換 |
実数 | ミンコフスキー内積 | ミンコフスキー空間 | ローレンツ変換 |
けっこう用語法のゆらぎはある。例えば、ミンコフスキー内積からの計量はなぜかローレンツ計量と呼び、ローレンツ計量が与えられた多様体はローレンツ多様体と呼んだりする。
内積には普通、対称性(複素ならエルミート対称性)、正定値性、ノルムゼロならゼロなどが要求される。
さて、昨晩考えたことによると、対称性、正定値性、ノルム条件などがなくても、基本的な枠組みはできる。余分なことがないほうがスッキリする。計算科学と圏論のアナロジーから発見的な議論を経由して、結局、一般化内積の一般化ユニタリ対応という概念が便利だと思った。
最終的には集合論的な定義に落とせる。それは部分単射になった。ここでは、非退化双線形形式を内積(一般化内積)と呼び (-|-) と書く。
UとWが内積空間として、f:U→Wがユニタリ対応であるとは:
圏論的には、ユニタリ埋め込みの圏をUEmbとしてのSpan(UEmb)、ユニタリ引き込み(レトラクション)の圏をURetとしてのCosp(URet)を考えると、これらは反変同型。Span(UEmb)とCosp(URet)を同一視した圏をUCorrとする。UCorrの射がユニタリ対応。
UCorrには、テンソル積でモノイド構造が入り、左右の脚を入れ替える自己関手でダガー構造が入る。双対がスター構造を定義するから、ダガー・スター圏になる。たぶん、ケリー単位もあって、ダガー・コンパクトだろう。
UCorrは具体的で計算できる。有限ヒルベルト空間を対象とするUCorrは有限量子計算(量子算数)に使えるのではないかと思う。