ポッツ模型
テンパリー/リーブ代数がポッツ模型(Potts model)と関係するらしい。カウフマンの解説はイイカゲンらしいが、それでも面白い。よく分かってないが、ともかくもメモしておく。
分配関数Z(G)
平面無向単純グラフGを考える。Gが単純とはループも多重辺も持たないこと。そっち方面(どっち方面?)の用語では、頂点をサイト、辺をボンドと呼ぶ。頂点=サイトにスピンとかカラーと呼ばれる値を割り振る。この値は{0, 1, ..., q-1}だと思ってよい。e2πi/q という円周上の等分点をスピンの値として取ることが多いようだ。
#|G| = (Gの頂点数) をNとして、スピン割り当ての個数はqNある。それぞれの割り当てを、配位(configuration)と呼ぶのだそうだ。状態(state)とも呼ぶ。状態をSとして、S(i), S(j)などで状態Sのi番目のサイトでの値を表す。[i, j]はサイトiとjを結ぶボンドを表すとする。便宜上、i < j と約束しておく。
δ(x, y)はクロネッカー・デルタ、ただし、x, yは任意でいいとする。要するに、任意の集合の対角集合の特性関数がδ。グラフG上の状態SにおけるエネルギーE(S)を定義する。まず、ボンド[i, j]に対して、ε(S; i, j) = εS([i, j]) = δ(S(i), S(j)) と定義する。ボンドのエネルギーは、両端のスピンが一致するかどうかで決まる。
各ボンドのエネルギーの総和 Σ([i, j]はすべてのボンド: ε(S; i, j)) をSのエネルギーE(S)とする。適当な定数cを用意して、cの肩にエネルギーを乗せた cE(S) を、状態Sの寄与、効果、作用のように考えて、すべての状態に関して和をとる。
- Z = Σ(すべての状態S: cE(S))
これはGにより決まるので、Z(G) と書いて、Gの状態和、または分配関数と呼ぶ。
分配関数のパラメータ
Z(G) は、Gの関数であるが、他にスピンの自由度(値の個数のことだが)qと温度Tをパラメータに持つ。温度Tは、別な定数vに組み入れて考える。v = c - 1 であり、定数cのなかに指数の形でTが含まれる。T, c, vの関係は単なる定数の取り替えに過ぎないから気にしなくていい。
qとvを変数だと思って、それらを変数とする分配関数を Z(G, q, v) と書く。具体的にZを求める計算式が欲しい。グラフGを帰納的に構成して、ある種の漸化式を作ってみる。bをGのボンドだとして、G\b と G↓b を次のようなグラフとする。
- G\b -- Gからボンドbを取り除いたグラフ(サイトは変化せず)
- G↓b -- bの両端を1つのサイトにまとめたグラフ
次の漸化式が成立する。
- Z(G) = Z(G\b) + vZ(G↓b)
- Z(・∪G) = qZ(G)
「・∪G」はGに一点を付け加えたグラフ。
計算テクニックと絡み目との関係
等式 cδ(x, y) = 1 + (c - 1)δ(x, y) が使われる。これは当たり前だが、言われないと気がつかない。c - 1がvとなる。非自明な計算はこの部分だけだろう。
Gは平面単純グラフだが、Gの状態Sは、Gから作った平面4-正則グラフ(Gのユニバーサル、または中間グラフと呼ぶらしい)Uの領域塗り分け(彩色)に対応する。特に、q = 2 のときは、二色塗り分け。これから、Gの交点に符号を与えることができて、絡み目の射影図と思える。
任意のグラフの状態と絡み目の状態を結びつけるのは、ユニバーサル(4-正則グラフ)なので、グラフの頂点彩色、ユニバーサルの領域彩色の相互関係をハッキリと理解する必要がある。頂点彩色=スピン割り当てのエネルギーは、領域彩色のときは頂点(交差点)での双対エネルギーのようなものか? エネルギーの双対って何だよ??