形式テンソルの図示
まずは絵を見よう。
左上:これは、A = (A[1], A[2])、B = (B[1], B[2]) という“対象の列”(対象形式ベクトル)のあいだの行列。f:A→B は、成分射f[i→j]:A[i]→B[j] 達で与えられる。ストリング図で描けば列はワイヤー、行列はオダンゴ。A, Bなどの列の長さはワイヤーの厚みだと思えばいい。行列fの内部では、ワイヤーがほぐされて分岐して配線される。
左下:行列からテンソルへの拡張。直線状の列が平面や立体的な配置に変わる。図でA, Bは列だがA(×)Bは格子矩形。(A(×)B)[i, j] = A[i](×)B[j] と定義されるので、行列の係数圏はテンソル圏(半加法的な半環圏)。形式テンソルは、射の成分 f[i, j→k]:A[i](×)B[j]→C[k] 達で定義される。
テンソル圏(半テンソル圏と呼ぶべきかも)に係数を持つ形式テンソルをストリング図で示すなら、上と下に複数のワイヤーが出たオダンゴ。
右:古典テンソル計算でいう「添字の上げ下げ」。fが形式テンソルとのとき、ケリー双対のベントを使ってワイヤーの方向を曲げることができる。これは乗法的トレース(縮約)にもつながる。