なんでテンソル積か? どうも勘違いしていた!
物理で、2粒子A, Bがあるとき、Aの状態空間(ヒルベルト空間)とBの状態空間のテンソル積をとるのはなんでだろう? 直和じゃなんでダメ? とずっと思っていたが、これは、「物理的時空 ⇔ 遷移系の状態空間」という対応で考えるからで、この対応がそもそもオカシイ、と気付いた。
状態遷移系だと、選択的な遷移は直和で、同時並列実行だと直積(テンソル積)。同時並列の和(むしろ積)のときは、メモリ領域は確かに直和になっている。つうことは、次のような対応なんだろう。
物理 | 計算 |
---|---|
空間自由度の空間 | メモリ領域 |
状態(波動関数) | メモリの状態(付値) |
空間の直和 | メモリ領域の直和 |
状態のテンソル積 | 状態空間の直積 |
となると、場の量子論と直接対応が取れるのはライフゲームとかセルオートマトン、箱玉系とかだな。普通の計算機ハードとか、高級言語の計算モデルだと、格納領域のトポロジーが問題になることは少ないから(それに、メモリの変化に局所法則がまったくないから)、最初から状態空間のほうが出てきたしまうわけか。
いずれにしても、物理と遷移系の状態概念にズレがあるのは確からしい。空間的空間(spacial space)の直和とメモリ領域の直和を対応させるか、それとも状態空間の直和を対応させるかで事情は異なる。また、遷移系では状態空間上での波動(伝搬現象)が意味を持つが、物理的状態空間(ヒルベルト空間)上で伝搬現象を考えると何になるかサッパリわからん。相互作用するものすごくたくさん、しかし同種の場を同時に考えることか?
遷移系では、状態空間の直和は選択的遷移として意味を持つが、物理的な状態空間の直和のほうは、確率の議論に吸収されてしまっているのかも知れない。離散力学では、確率じゃなくて可能性(あり得るかどうか possibility)を問題にするから、ここもズレの原因かもしれない。