このブログは、旧・はてなダイアリー「檜山正幸のキマイラ飼育記 メモ編」(http://d.hatena.ne.jp/m-hiyama-memo/)のデータを移行・保存したものであり、今後(2019年1月以降)更新の予定はありません。

今後の更新は、新しいブログ http://m-hiyama-memo.hatenablog.com/ で行います。

モノイドとベック・スワッパー

P. Eklund, M.A. Galan, J.Medina, M. Ojeda-Aciego, A. Valverde "Powersets of Terms and Composite Monads" ( http://www.cs.umu.se/research/reports/2004/007/part1.pdf) にあるモナドと分配法則の議論は、非ブレイド・モノイド圏(対称性がまったくない圏)内のモノイドの議論で置き換えられる。

M=(M, m, e)とN=(N, n, f)がモノイド圏Cのモノイドのとき、s:N×M→M×Nがベック(Beck)スワッパーであるとは、ベックの法則(4つの等式)を満たすことだとする。2つのモノイドM, Nとスワッパーsの組 (M, N, s)とM×N上のモノイド構造に関して次が成立する。

  1. スワッパーsがあれば、M×N上にモノイド構造を作れる。
  2. M×N上のモノイド構造が、M×f:M→M×N、e×N:N→M×Nがモノイド射で中間単位律(middle unitary law)を満たすならスワッパーを持つ。
  3. M×N上のモノイド構造が、左M作用(に近いもの)M×(M×N)→M×Nと右N作用(M×N)×N→M×Nを許すなら、スワッパーを持つ。

だいたいのところ、「M×N上の“良い”モノイド構造⇔ベック・スワッパーの存在」となる。Eklund等の論文の当該部分をモナドから切り離して書き直すといいと思う。