タングルの圏
トゥラエフ流のタングル(3次元のなかで1次元横木/0次元ペグを持つ1次元ストランドのタングル)の圏は、X+、X-、∪、∩で生成される(I=id1は生成元には入れない!)。以下、LLT(Glenn Lancaster, Richard Larson, Jacob Towber)の用語法「トランジション」を使うことにする。
Nを対象として生成元{X+、X-、∪、∩}で生成された自由圏に、トゥラエフ移動により同値関係(合同;categorical congruence)を入れる。その商圏がタングルの圏になる。同値関係の基本となるトゥラエフ/イエッター移動は、基本トランジションとみなす。これらの基本トランジションは、特異点をまたいだdeformation(特異点を許すコボルディズム)のbefore/afterを与える。
基本トランジションは:
- ジグザク等式=スイッチバック移動
- Ψ(プサイ)移動
- フリップターン等式=ライデマイスター移動I
の3種となる。フリップターンはヤンキングと同値である。
フリップターン≒ヤンキングはライデマイスター移動Iでもあるが、ライデマイスター移動Iは、絵の描き方によりフリップターンにもヤンキングにも見える。
Ψ移動がクロスオーバーと同値であることはすぐわかる(→「トゥラエフ主移動とクロスオーバー公式」)。ところが、クロスーオーバーは、(f+1);σ = σ;(f+1)、(1+f);σ = σ;(f+1) という等式に対応する。これは、一般のスライディングスワップ (f+g);σ = σ(g+f)の特殊ケースだが、この特殊ケースからスライディングスワップも導ける。よって、適当な前提のもとでは:
- Ψ移動=クロスオーバー=スライディングスワップ
トゥラエフのタングルの圏の部分圏や商圏として次のものが得られる。
- ブレイドの圏(亜群)
- 対称(置換)の圏(亜群)
- 結び目の圏(結合もテンソル積も直和)
- ループの圏(結合もテンソル積も直和)
- テンパリー/リーブ圏
- ジョーンズ代数
- コバノフが定義した偶数点(ペグが偶数個)からなり、交差を許さず電荷は保存する圏
少し一般化すれば、コンパクト閉圏、軸的圏、堅い圏などにもなる。