半環イロイロ
Esik/Kuichの"Inductive *-Semirings"から定義などを抜き書き。
単項の演算*を持つ半環をスター半環と呼ぶ(それだけの話、他に特別な意味はない)。
帰納的スター半環(inductive *-semiring)は:
- 順序半環(半環演算が単調)
- a・a* + 1 ≦ a* [不動点不等式;the fixed point enequation]
- a・x + b ≦ x ⇒ a*・b≦x [不動点帰納法; the fixed point induction rule]
不動点等式 a・a* + 1 = a* は定理として出る。スターが単調なことも定理。不動点と帰納原理の半環による定式化。
連続半環(contiuous semiring)とは:
- 順序半環
- 0を最小元とするCPO(任意の族がsupを持つ)
- 和と積はCPO構造に関して連続
Σaiは、sup(aiの有限和)で定義できる。
連続スター半環(continuous *-semiring)とは:
- 連続半環である。
- スターはクリーネ級数の総和で与えられる。
連続スター半環は帰納的スター半環になる。クオンテールは連続スター半環になるので、帰納的スター半環である。
スターを持つ順序半環において、次を弱不動点帰納法(weak fixed point induction rule)と呼ぶ。
- a・x + b = x ⇒ a*・b ≦ x (a*はどんな真の不動点よりも小さい)
不動点帰納法は、「a・x + b ≦ x ⇒ a*・b≦x 」と少し強い。
コンウェイ半環(Conway semiring)とは:
- 和スター等式 (a + b)* = (a*・b)*・a*
- 積スター等式 (ab)* = 1 + a・(ba)*・b
弱帰納的スター半環(weak inductive *-semiring)とは:
順序半環が和順序(sum-ordered)とは:
- a≦b ⇔ ∃c. a + c = b
和順序半環が弱帰納的スター半環であるときに、いくつかの定理がある。
スター半環Sに関する次の条件は同値:
- Sはコンウェイ半環
- Sの2×2行列が不動点方程式(等式)を満たす
- 任意のnにおいて、Sのn×n行列(n≧1)が不動点方程式(等式)を満たす
- あるnにおいて、Sのn×n行列が不動点方程式(等式)を満たす
- Sの下三角2×2行列が不動点方程式(等式)を満たす
- Sの上三角2×2行列が不動点方程式(等式)を満たす
これはコンウェイ圏(コンウェイ/ベキック圏;圏的不動点オペレータを持つデカルト圏)における定理にできそうだ。
コンウェイ半環が反復半環(iteration semiring)とは:
- どんな有限群Gに対しても、Gの群等式を満たすこと。
群等式の定義は省略。
次の双対性がある。
帰納的スター半環が対称帰納的スター半環(symmetric - )であるとは:
連続スター半環は対称帰納的スター半環である。Sが対称なら行列半環も対称になる。
コゥゼン半環(Kozen semiring)とは:
- 加法的ベキ等
- 対称帰納的スター半環
コゥゼン半環はクリーネ代数のことである。クリーネ/コゥゼン半環あたりが妥当な呼び方か?
Sがスター半環、A⊆Sとして、A上のコンウェイ機構(mechanism)とは:
- n≧0
- α∈{0, 1}1×n
- β∈{0, 1}n×1
- M∈(A∪{0, 1})n×n
- (α, M, β)がコンウェイ機構
Dがコンウェイ機構のとき、Dの振る舞い(behaviour)とは:
- 行列の積 αM*β ∈S
Sに関して次が成立するとき、Sはクリーネ型定理(Kleene-style, Kleene-type)を満たすと呼ぶことにする(これは檜山)。
- Aから生成されたSの部分スター半環と、あらゆるコンウェイ機構に関する振る舞いの全体が一致する。
コンウェイ半環はクリーネ型定理を満たす。