随伴作用、随伴表現
まず、群Gの内部自己同型。a∈G を固定して、
- g∈G |→ aga-1
として、この写像をΦa:G→G とする。Φaは群の圏の射になり
- Φ:G→Aut(G)
という写像になる。Aut(G) は IsoGrp(G, G) のこと。
上記のΦ、またはΦaを内部自己同型と呼ぶが、随伴作用(adjoint action)と呼ぶことがある。この随伴作用は、群Gが集合Gに作用している群作用の文脈での作用。左作用や右作用もあるが、内部自己同型=随伴作用の特徴は群の自己同型になっているところ。
Gがリー群のときは、Φa:G→G がなめらか写像となり、微分可能。単位のところでの接写像を取ると、(TΦa)(e): (TG)e→(TG)e。(TG)eはリー代数だから、(TΦa)(e):g→g というリー代数の同型写像が決まる。これをAdaとかAd(a)とか書く。
- Ada:g→g
a∈G なので、Ad:G→Aut(g) となる。Aut(g)はリー代数の圏でのHomLieAlg(g, g)。Gはリー群なので、リー群のリー代数の圏への表現になっている。
一方で、adX:g→g をX∈gに対して、
- adX(Y) := [X, Y]
で定義すると、ad:g→Aut(g) となり、リー代数を自分自身(台線形空間)を表現空間とする標準括弧積リー代数への表現となる。これも随伴作用とか随伴表現とか呼ぶ。
つまり3種類の表現があり、それらを全て随伴{作用, 表現}と呼ぶ。
- 群Gを、群の圏GrpのなかのAut(G)へ表現する。Gは表現集合となるが、群構造も考慮していることになる。
- リー群Gを、ベクトル空間の圏VectのなかのAut(g)へ表現する。表現ベクトル空間gは、Gのリー代数の台ベクトル空間。
- リー代数gを、ベクトル空間の圏VectのなかのAut(g)へ表現する。Aut(g)(つうかEnd(g))のりー代数構造は、結合代数の交換子積。
いずれも、自分の代数構造を自分自身(の台)を表現オブジェクト(被作用オブジェクト)として表現する点は共通しているが、自分の代数構造が、群、リー群、リー代数の別があり、表現オブジェクト(被作用オブジェクト)も群、ベクトル空間の別がある。