コンパクトシーケントと従順多圏とモノイド圏
まず、コンパクトシーケントとは、コンパクト論理のシーケントで、左辺と右辺のカンマの解釈が同じもの。古典論理のシーケントとは違う。次のような規則を使う。
Γ ⇒ Δ,Δ' Δ',Ψ ⇒ Φ
----------------------------[右Cut]
Γ,Ψ ⇒ Δ,Φ
Γ ⇒ Δ',Δ Ψ,Δ' ⇒ Φ
----------------------------[左Cut]
Ψ,Γ ⇒ Φ,Δ
Γ,A ⇒ B
---------------[右o--導入]
Γ ⇒ A o-- BA, Γ ⇒ B
---------------[右--o導入]
Γ ⇒ A --o BA, B ⇒ Δ
-----------[左∧導入]
A∧B ⇒ ΔΓ ⇒ A, B
-----------[右∧導入]
Γ ⇒ A∧B
他にも規則はあるが、とりあえず先に進む。
このシーケント計算のモデルとして、扱いやすい多圏を導入する。従順多圏と呼ぶことにする。Oが基本対象の集合、O* がOから作った列の集合として、O*の元は Γ, Δなどで書く。Oの元はA, Bなど。圏と同様に、dom, cod, idを持つ。そして、右cutと左cutが2つの結合を与える。並置が標準的なモノイド積となる。
従順多圏には標準的に圏が含まれる。長さ1の多対象をdom, codにする多射だけを考えると、これは圏となる。これを従順多圏のコア圏と呼ぶことにする。コア圏に、対称とは限らないモノイド積と2つの指数が与えられているとき、従順閉多圏と呼ぶことにする。コア圏は右自立かつ左自立なので自立圏となる。
さらに、コア圏に、A** = A、(A×B)* = B*×A*、(A o-- B)* = (B* --o A*)、(A --o B)* = (B* o-- B*) を満たすようなスターオペレータがあるとすると面白い。このスターオペレータに関して、AとA*を結ぶ τA : A→A* があって、τA;τA* = A となってほしい。τはハーフツイスト射になる。
この状況で示せる典型的な公式として、軸反転(pivoting)公式がある。XA,Bを対称ブレイディング(クロス)、τをハーフツイスト、LΛとRΛをそれぞれ左抽象、右抽象とすると:
- LΛ(XA,B;f);τ = RΛ(f)
が示せる、つうか示せるように定式化すべき。