このブログは、旧・はてなダイアリー「檜山正幸のキマイラ飼育記 メモ編」(http://d.hatena.ne.jp/m-hiyama-memo/)のデータを移行・保存したものであり、今後(2019年1月以降)更新の予定はありません。

今後の更新は、新しいブログ http://m-hiyama-memo.hatenablog.com/ で行います。

力学系とオートマトン

s:R×X→X を連続力学系 x' = s(t, x) だとする。S⊆X が横断的とは次のことだとする。

  • x∈S に対して、時間を十分短い区間(-ε, +ε)に制限すると、s(0, x)以外はSに入らない。

つまり、時刻0の付近の軌道はSと1点でしか交わらない。

横断的なS上には、「部分的に定義された決定性の離散力学系」をポアンカレ写像で定義できる; x∈S に対して、s(t, x)∈Sとなる一番最初のt > 0 を選んで、x' = s(t, x) とする。そのようなtがないときはx'は未定義だとして、部分写像 x|→x' が定義できる。この部分写像が部分的な遷移系を定義する。

f:S→S が部分的かもしれない(しかし決定性)遷移とする。Sの分割 S = Σ(i : Si) があるとする。分割の添字の集合をIとして、非決定性写像 g:I→I を次のように定義する。

  • あるx∈Si に対して、f(x)∈Sj なら j∈g(i) とする。

Sの分割が、gを決定性にするなら、それはマルコフ分割となる。マルコフ分割の条件は:

  • iに対して適当なjがあって、すべてのるx∈Si に対して、f(x)∈Sj。または、Si上でfがまったく未定義。

時間の空間も連続的な運動の系から、離散的な記号が出現するのは、このようなメカニズムなのだろうか?