テンソル代数
本編の「伝統的テンソル計算を理解するヒント」において、内積空間Uをひとつ固定して、内積空間と(任意の)線形写像の圏の充満部分圏Tens[U]を考える、という話をした。
実はUが内積空間(ユークリッド空間、ヒルベルト空間など)である必要はなくて、Uとその双対U*があればよい。U*も標準的な双対である必要はなくて、UとWが a dual の関係にあればよい。すると、UとWと非退化双線形形式φをもとに、最小のコンパクト閉圏が作れる。そこでの計算がテンソル計算になる。
ところで、ベクトル空間Uに対して、外積代数(交代代数)A(U)とか対称代数S(U)が作れる。Tens[u]に対応する代数(多元環)はなんだろう。Uを文字'+'、U*を文字'-'で代表するとしよう。この文字は別になんでもいいのだが、ともかく2文字。アルファベット{+, -}から作られる文字列、たとえば"+--+"がテンソル積 U(×)U*(×)U*(×)U を表す。U(×)U*(×)U*(×)U = U+--+ のような指数表示をする。
任意の文字列α∈{+, -}*(ここのスターはクリーネスター)に対する Uα を全部直和で組むと代数ができる。T(U) = Σ(α∈{+, -}* : Uα) とすると、これは階付き代数(graded algebra)になる。階のモノイド(grade monoid)が非可換な{+, -}*となる。しかし、αβ |→ βα という対称(symmetry)があるから、非可換だが割と扱いやすい。
圏Tens[U]と代数T(U)の関係って、圏-R代数とR化圏になってんじゃないのかな? [追記]←全然違う。間違い。[/追記]