テンパリー/リーブ代数とかフロベニウス代数とか、どう理解するか
表題にテンパリー/リーブ代数と書いたが、実際はテンパリー/リーブ代数よりもっと基本的な代数なんだが、どうも特定の名前がないような気がする。まー、圏として見れば、「直進圏とその変種」で書いたようなタングル圏の変種のこと。フロベニウス代数は線形代数で定義できるが、圏としては曲面のコボルディズム圏になる。
フロベニウス代数に対応する曲面の圏は、タングルの圏の2次元版かというと、まったくもつれてないので趣がだいぶ異なる。にもかかわらず、外の空間(箱)が十分に高次元の場合の2次元タングルと思うことはできる。箱入りコボルディズム(相対コボルディズム)圏の特殊例になっていると考えてよい。
\ | タングルの圏 | 曲面の圏 |
---|---|---|
注目する図形 | コンパクト1次元多様体 | コンパクト2次元多様体 |
図形の境界の形 | n個の点(n≧0) | n個の円周(n≧0) |
外の空間(箱)の次元 | 3 | 十分高いN |
境界が載る空間(棒)の次元 | 1 | 2 |
からんでいるか | YES | NO |
関連する代数 | テンパリー/リーブ、他 | フロベニウス |
フロベニウス代数は、曲面の圏(からんでない2タングルの圏)を表現すると考えられる。からんでないので、ある意味では1次元タングルより簡単である。曲面の圏の生成元は、円筒パイプ(円周1個のid)、上下のズボン、上下の帽子(cup, cap)となる。n個の円周に全順序を入れる場合は、入れ替えとしてパイプの対称公差(クロッシング)も入る。
パイプの中心線を考えると、曲面の圏は1次元絵算で計算できる。ズボンはΔ、∇、帽子は生成/消滅になる。
1次元でも2次元どちらの場合でも、次のような3つのタイプの圏が出現する。
- ほんとの図形の、なんらかのアイソトピー類の圏(幾何学的)
- 記号の組み合わせによる圏(計算しやすい、アルゴリズムとして記述可能)
- ベクトル空間や加群からなる圏に追加構造を付けた圏(基底を取れば行列計算)
ベクトル空間の圏を、双対を考えてスター圏、随伴(共役)を考えてダガー圏のように捉えておいて、その部分スター圏/部分ダガー圏などに、非退化双線形形式やR行列のような可逆な演算子などを見つける作業をするが、あれは、タングルや曲面の圏の線形表現を作っていることになる。
ようするにTQFTの枠組みだが、こう考えると話は簡単になる。いや、物理的な内容はトンデモナク難しくて、まったく手が出ないが、組み合わせ計算のところはシコシコ計算できるし、行列の計算も実行可能だから、計算目的なら理解可能な形となる。