このブログは、旧・はてなダイアリー「檜山正幸のキマイラ飼育記 メモ編」(http://d.hatena.ne.jp/m-hiyama-memo/)のデータを移行・保存したものであり、今後(2019年1月以降)更新の予定はありません。

今後の更新は、新しいブログ http://m-hiyama-memo.hatenablog.com/ で行います。

線形論理とトレース

なんかのはずみで見つけた"Polarized Proof Nets with Cycles and Fixpoints Semantics"(http://www.pps.jussieu.fr/~montela/papers/tlca03.pdf)がけっこうひろいものだった。どうやって引っかけたか忘れたが:

とかでリストされる。

僕が興味を持ったのは、推論図ごとにトレース付きデカルト閉圏における解釈が表になっていたところ。実際には条件“デカルト閉”を弱められて:

  • 特定のオブジェクトRが存在する。
  • R(-)に相当する自己関手Pがあって、C(A×B, R)とC(A, P(B))が同型。

つまり、Rに関してだけ、ベキ、(アン)カリー化などの概念が使える。ゲンツェン風LJの解釈は、こういう圏(なんて呼ぶのか?)でもできるようだ。Rを真偽値、P(B)をB上の述語の全体(を対象とみなしたもの)と解釈できるのだろう、たぶん。デカルト閉圏とは違い、無制限に高階対象を作れるわけではない。×をテンソル積、Rをスカラー体と思うと、線形代数でも通用するハナシだと思う

mixルールがモノイド積、cutがトレース、コントラクションが余対角、水増しが終対象兼モノイド単位に対応する。明示的に換(interchange)を入れると、換は対称になるのだろう。ここで、「モノイド積と対称とトレースで、結合が表現できる」というアノ定理(トレース付きモノイド圏における結合)が意味を持つかもしれない。