Kozen圏
ホプキンス(Hopkins)/カール(Kahl)/木下等によりKleene圏が定義されているが、事実上のKleene圏の創始者はデクスター・コゥゼン(Kozen)のような気がする。それで、Kleene圏のバリアントをKozen圏と呼ぶことにしよう。(コォゼン圏(Kozen圏) 再び - 檜山正幸のキマイラ飼育記 メモ編参照。)
コゥゼンは圏論が嫌いのようだ(あえて圏論を避けているように思える)から、Kozen圏なんてネーミングはイヤがるかもしれない。が、コゥゼンのTyped Kleene AlgebraとKleene代数係数行列の概念を圏論的に定式化するとKozen圏なのだから、別にイイガカリ(?)ではない。
Kozen圏とは、トレース付き・ベキ等・双デカルト・対称モノイド圏のことである。要するに、この長ったらしい言い方を縮めたかった。カザネスク/ステファネスク/ハイランド/長谷川の結果から、Kozen圏はConway圏(不動点オペレータを持つ圏)である。つまり、Kozen圏は“線形不動点方程式が解ける圏”として特徴付けられる。
定義の妥当性のためには、次を示す必要がある。
- Kozen圏は、ホプキンス/カール/木下の意味のKleene圏である。
- 単生(単項生成)Kozen圏は、生成対象をU, K=End(U)として、MatKに圏同値である。
念のため、単生Kozen圏とは:
- 単純対象が(up to isoで)ただ1つ存在する(通常Uと書かれる)。
- すべての対象は、単純対象の直積(直和でもあるが)で書ける。
K |→ MatK と C |→ K=End(U) により、Kleene代数と単生Kozen圏は対応する。(一方、木下埋め込みは、Kleene圏をKleene代数(1対象Kleene圏)に埋め込む。)