簡易インスティチューションのすごく簡単な例
多項式インスティチューションは簡易インスティチューションの簡単な例だと思う。似たような例に命題論理のインスティチューションがある。が、もっと簡単な例がある。
Pow*、Pow*をそれぞれ、共変と反変のベキ関手だとする。Pow*(f)をf*、Pow*(f)をf*と略記する。集合Xに対するPow*(X)とPow*(X)は同じものだから、Pow(X)とも書く。
X∈|Set|だとして、Pow*(X)×Pow*(X) = Pow(X)2の関係|=X を次のように定義する。
- A, B∈Pow(X)に対して、A |= B とは B⊆A のことだと定義する。
以上の状況で、(Set, Pow*, Pow*, |=)は、指標圏Set、文関手Pow*、モデル関手Pow*、充足関係族 |= から成る簡易インスティチューションになる -- 次の充足条件が成り立てばよい。
- f:X→Y、A∈Pow(X)、B∈Pow(Y)に対して、f*(B) |= A ⇔ B |= f*(A)。
=の定義によれば、これは次のことを意味する。 |
- A⊆f-1(B) ⇔ f(A)⊆B 。
上の命題が成り立つことは練習問題だろう。